第54回 教会カンタータに綴られた物語4
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最終回となる今回はBWV99のテキストについてです。
カンタータ第99番「神の御業は正しきこと」 BWV 99
Kantate Nr. 99 „Was Gott tut, das ist wohlgetan” BWV 99
このカンタータに貫かれたテーマは、神への絶対的な信頼です。いついかなる時も、神を求め、信じていなさいということだけがこのカンタータのテーマです。
このテーマは、このコラールカンタータのもととなったコラール「神の御業は正しきこと」から導き出されています。冒頭合唱はこのコラールの第1節、たとえ今苦しみにあっても、神が自分を守ってくださる、という信頼感をあらわします。そこから先も一貫して、不慮の事故にあっても(第2曲レチタティーヴォ)、十字架の苦しみにおいても(第3曲アリア、第5曲二重唱)、苦悩や悲嘆がどれだけ積み重なっても(第4曲レチタティーヴォ)、苦悩、死、不幸に襲われても(第6曲コラール)ひたすらに神の救いを信じなさいということが言われます。
テーマとしては至ってシンプルです。「どんなときも神を信頼しなさい」ある意味その一点張りで、あとはそれぞれのシチュエーションについて詳しく説明しているような流れになっています。
注目したいのは第3曲アリアと第5曲二重唱で、これは同じく十字架の苦しみにがテーマです。第3曲は恐れ慄く魂を叱咤しながら、十字架の盃は苦くとも、それは毒ではなく薬なのだといい、第5曲では肉体の弱さをとりあげ、この十字架の苦しみに耐えてこそ、来たるべき喜びがあるといいます。
まざっくり言うと同じことですよね!ざっくり言うとね!
やっぱり大事なことは2回言うんですねえ。そういえば苦悩と日本語に訳される単語も何度も登場します。
第1曲にはNot、第4曲にはPlage、Leid、第6曲には再びNot。言い回しを変えながら、どれだけ苦しくとも、神を信頼していなさいよということが言われるんですね。
そういう意味で、このカンタータは私達の苦しみに寄り添った、共感のカンタータと言えるかもしれません。わかる。わかるよ。苦しいよね。でも大丈夫だよ。
このカンタータをあじわうとき、一つのストーリーというよりは、一貫するテーマを感じていただければと思います。それで、いま苦しみのことを言っているのか、救いのことを言っているのか、それだけわかるだけでもこのカンタータをかなり深くあじわえるのではないかと思います。
13日の公演チケットは完売してしまいましたが、10日の方はまだチケット残っております。
ぜひ骨の髄まで教会カンタータをあじわいにいらしてください。
13日の公演はライブ配信もします。こちらは1週間アーカイブが残りますので、当日予定がお有りの方も後日お楽しみいただけるようになっております。
こちらも合わせてどうぞご利用ください。
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