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サリクス・メンバーの声 第5回

バリトンの西久保です。 今回も素晴らしい曲を演奏する機会を頂き、幸甚の限りです。 「死が照らし出す生の輝き」という、これもまた素晴らしいテーマです。

 

シュッツの《音楽による葬送》

 母の胎より裸で生まれ  また裸にてこの世をば往ぬ

前段は、なんと言うか天文学的な印象を受けます。 何十億年も前からつながれてきた命が、いま自分という形になって現れているという、 とんでもない奇跡です。 対するに、後段は、実のところなんとも日常的なお話です。我々の命は、たった 何十年かで、どんな例外もなく消えてしまうこと。

好き勝手に読むことをお許しください。 もう、生まれてきただけでとんでもなくラッキーなのだから、 思うさま生きて生き切って、それに必ず続く「ありきたり」な死は、まあじたばたせずに 受け入れましょうや、という感じでしょうか。

自分の死に限って言えば、それで受け容れられる事にしましょうか? それでも、いざとなったらじたばたするに違いありませんが。

 

さて、所属する合唱団で以前にこの曲に取り組んだことがあります。 仲間内では、特にバリトンの二重唱・憂き世に生きることの労苦を切々と歌い 上げるあたりが、とある時代劇のテーマ曲を彷彿とさせると、話題になりました。

著作権法上の制約は厳密に守らなければいけませんから、あえて歌詞は引用しませんが、 どなたもご存じのあの曲です。

青木さんと私、どちらが助さん格さんかは分かりませんが、 コンサートでは心に染み入る歌をお届けしたいと思います。

 いのち続けど七十年  永らえたとて八十年  いと有り難き生なれど  憂いのみにて過ぐるなり

 

今度、その合唱団の演奏会がありますので、ここでご紹介させていただきます。 四半世紀を超えてルネサンスやバロック音楽中心に取り組んできましたが、 このところ近現代にもレパートリーを広げております。

私は、合唱のほかに、デュリュフレ・レクイエムのオスティアスやリベラ・メの バリトンソロなぞをひとくさり、唸らせていただきます。よろしければご来聴くださいませ。

合唱団スコラ・カントールム第25回定期演奏会 2016年7月10日(日)川口総合文化センター リリア音楽ホールにて、

 

バス

西久保孝弘(にしくぼ たかひろ)

 早稲田大学理工学部応用化学科卒業。東京藝術大学別科声楽専修修了。現在、同大学大学院修士課程声楽専攻(独唱)2年次在学。多田羅迪夫、萩原潤の各氏に師事し、バロック期のオラトリオ作品からドイツリート、イタリアオペラのアリアまで幅広く学んでいる。

 ドイツ歌曲を中心としたデュオリサイタルを定期的に開催するほか、フォーレ《レクイエム》、デュリュフレ《レクイエム》、J. S. バッハ《マタイ受難曲》のソリストや、東京藝術大学附属音楽高等学校平成27年度定期演奏会ではJ. S. バッハ《マニフィカト》のソリストを務めた。

 また、長年、合唱歌手として合唱音楽や古楽アンサンブルの研鑽を積み、近年では、ジャパンチェンバークワイア、合唱団ハルモニア・アンサンブル、「シグナス・ヴォーカル・オクテット」などにも参加・活躍している。

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【次回公演】

Salicus Kammerchorの次回公演は『第3回定期演奏会』です。

4月22日(土)14:00開演

横浜市栄区民文化センター リリスホール

4月27日(木)19:15

開演台東区生涯活動センター ミレニアムホール

曲目

”Lobe, den Herrn alle Heiden” BWV 230

”Der Geist hilft unser Schwachheit auf” BWV 226

詳細はコチラ↓

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【最新動画配信!】

第2回定期演奏会より、Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonisを公開中です!

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