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第46回「J. S. バッハのモテット」超ざっくり要約



5月の「J. S. バッハのモテット全曲演奏会」に向けて、

ダニエル R. メラメド著

「J. S. バッハとドイツのモテット」

を要約してくメルマガ企画が進行中ですが、そこで毎回行っている「超ざっくり要約」をこちらの記事にまとめることにしました。

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第1回 18世紀前半における「モテット」(1)


「モテット」とは

  1. 聖書からの引用や、コラール(ドイツ語による宗教歌)をテキストにしている。

  2. 声楽のジャンルであって、器楽の使用は限定的である。ただし通奏低音は除く

  3. イタリアやフランスではより広い意味で用いられることもある。


 

第2回 18世紀前半における「モテット」(2)


「モテット」は

  1. 曲種(ジャンル)であると同時に、書法(スタイル)である。

  2. ドイツ語による新しいタイプのものを指す場合と、ラテン語による16世紀の古いタイプを指す場合がある。

  3. テキストの明瞭性と主旋律に対する関心の高まりによって、カンタータにその地位を譲り渡すようになっていった。


 

第3回 J. S. バッハにおける「モテット」


J. S. バッハはモテットという語を

  1. 文書の中では

  • 古いラテン語モテット

  • フロリレギウム・ポルテンセに収録されたような作品

として、

 2. 音楽資料の中では

  • 一般的に18世紀ドイツで考えられていた作品

  • イタリアやフランスでのより広義のモテット

  • 原本や模範とした作品に倣う形で

用いている。


 

第4回 バッハのモテットとそのジャンルに対する関係(1)


J. S. バッハのモテットは

聖句、コラール、あるいはその組み合わせのテキストを用いているということで、テキストの面からほとんど当時の典型的な作法に反していない

ただし、

  1. BWV229はコラール風のテキストであるがコラールではない。

  2. BWV225は一部自由詩を用いている。

という例外がある。


 

第5回 バッハのモテットとそのジャンルに対する関係(2)


J. S. バッハのモテットは

以下の音楽的点からも、18世紀初頭の一般的モテットの概念を踏襲している。

  1. 対位法が重視される

  2. フーガのセクション以外での和声的、シラビックな扱い

  3. 独立した器楽パートの欠如(BWV118を例外として)

  4. 器楽によるコッラパルテの存在

  5. 通奏低音パートの存在


 

第6回 バッハの初期のモテット(1)


"Ich lasse dich nicht" BWV Anh. 159

19世紀の編集者の考えでヨハン・クリストフ・バッハの作とされていたこともあったが、史料の上では誰が作曲したのかはっきりとはわからない。しかし、今は失われたライプツィヒの史料を手にしていた編集者の考えや、演奏記録、また様式の面から、J. S. バッハの真作であった可能性が非常に高い。そしてその作曲時期は1713年夏であった可能性がある。


 

第7回 バッハの初期のモテット(2)


“Fürchte dich nicht” BWV 228

オリジナル史料が残っていないため、正確な作曲年代を特定することができない。

しかし、

  1. "Ich lasse dich nicht"との構造上の類似性

  2. 使われているコラールのバージョン

  3. カンタータBWV63の最終楽章との様式上の特徴の類似

から、バッハがライプツィヒに移る前のヴァイマール時代、それも1715年頃に書かれた可能性が高い。


 

第8回 バッハの後期のモテット(1)


"Der Geist hilft unser Schwachheit auf" BWV226

  • 第1部は二重唱曲を元にした改作

  • 第2部も二重唱曲か5声の作品の改作

である可能性が高い。


 

第9回 バッハの後期のモテット(2)


"Der Geist hilft unser Schwachheit auf" BWV226

  • 第3部は新作

  • 第4部はおそらく原曲を移調したもので、しかもこのモテットの一部ではない

という可能性が高い。


 

第10回 バッハの後期のモテット(3)


"Jesu, meine Freude" BWV 227は、

  1. 5声の作品でありながら、最初と最後の楽章が4声である

  2. 第6楽章のフーガが無伴奏のテノールから始まる

  3. 第9楽章に使われているコラール旋律のバージョンが古いバージョンである

等の理由から、既存の作品の改作含む可能性が高い。


“Nun lob, mein Seel, den Herrn”の旋律を使った3つの作品からは

  1. モテットと、カンタータの中のモテット風楽章の極めて近い関係

  2. それらの相違点(独立した通奏低音の有無)

  3. バッハがカンタータのモテット風楽章からモテットを構成した可能性

が窺える。


 

第11回 年代、様式、演奏実践


・18世紀ドイツの演奏実践

・バッハのカンタータにおけるモテット風楽章の編成

・バッハによるモテットの演奏パート譜の存在(自作・他作含む)

によって、バッハの演奏実践において、モテットの声楽パートに器楽が重複されていたと考えられる。

 

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