サリクス・メンバーの声 第4回
こんにちは!サリクス・カンマーコアでソプラノを担当している鏑木綾です。かぶら「き」あやです。「ぎ」ではないのでこの機会に是非覚えてくださると嬉しいです。
これまでのみなさんが真面目な感じだったので、私は元ちゃん(櫻井氏の愛称です)との馴れ初めをゆるっと、彼がどんな稽古をしているかをさらっと綴りたいと思います。
まず、元ちゃんとの出会いを思い出そうとしたのですが、全く思い出せません。元ちゃんにも聞いたのですが彼も全く覚えておらず、何か手がかりがないかと過去のメールを遡ってみました。
残っているなかで一番古いメールは、
2010年10月4日(元ちゃんの誕生日の9日前ですね)
件名: お久しぶりです。
明日みなとみらいで19時からパーセルのアーサー王やるんだけど聴きに来ませんか?
というものでした。彼は当時学部2年生、私は古楽科修士1年生。お互い若かったですね。
恐らく、この時アーサー王を聴きに行ったのだと思うのですが、全く思い出せません(2回目)。この後のメールには、元ちゃんから芸大の古楽アンサンブルの授業で一緒に歌わない?というのがありました。その後のメールの感じだと何かを一緒にやったみたいなのですが、何をやったのか、これも全く思い出せません(3回目)。この授業で出会ったのが先か、2010年の9月3日にコントラポントに一緒に出演しているので、それが先か、全く思い出せない(4回目)のですが、とにかく色々と一緒に演奏することが、時が経つにつれて、今では思い出せないほど増えていきました。
色々あったにはあったのですが、私にとっての元ちゃんとのターニングポイントは、私の修士修了演奏会に助演で出てもらった時のことです。私はイタリアの詩人であるジョヴァンニ・バッティスタ・グアリーニの『忠実な羊飼い Il pastor fido』という作品の詩を元にした様々な作曲家のマドリガーレを取り上げ、その時に元ちゃんとトミー(サリクスのテノール;富本泰成氏)に助演をお願いしました。
マドリガーレを、自分が主導権を握って仕上げていくのはこれが初めてだったので、リハーサルや本番では己の力不足故になかなかうまくいかないこともありました。しかし、二人とも助ける以上の素晴らしい演奏をしてくれて、そのお陰で修了できたようなものなので、本当に頭が上がらないです。
元ちゃんはとにかく責任感が強くて面倒見がよい人です。バッハカンタータクラブの演奏委員長をこなしつつ、古楽科の院生をしつつ、 FF古楽道場やコントラポントのインスペクターもしているのに、はたから見ると全て淡々とこなしているように見えるあたり尊敬します。私は各所でとにかくお世話になりっぱなしで、本当に頭が上がりません。
そんなこんなである日「新しく合唱団を設立することにしました。」とメールが来ました。主にバッハカンタータクラブのメンバーで構成されているなか、バハカンに入っていない自分のことも誘ってくれて嬉しかったです。
お誘いのメールにはどんな合唱団にしていきたいのか、このブログで書かれているようなことが書いてあり、その文面からはひしひしと情熱が伝わって来ました。そして、第一回演奏会を迎えることとなるのですが、馴れ初めはこんなところで。
さて、そんな元ちゃんの稽古での様子ですが、やはり過去のことは全く思い出せない(5回目)ので、第二回公演に向けての初稽古があった昨日を振り返りつつ、思い出したいと思います。
やはり、まずはネウマです。グレゴリオ聖歌をネウマ通りに歌えるようになることから始めます。ネウマに関しては渡辺研一郎くんが詳しいので、元ちゃんは彼と確認作業をしながら練習を進めていきます。時々、メンバーがおいてけぼりになるネウマニアックな会話を二人で繰り広げて、深く感動していたりします。いえ、おいてけぼりになっていないで一緒に感動しないといけませんね。
昨日の感動ポイントは、今回取り上げるグレゴリオ聖歌の中に、団体名となっているサリクスが10回出てくるということでした。しかもNuncという言葉には2回続けて出てきます。これには私もしびれました。
バッハなどのモテットでは、ネウマ的要素はもちろん大切にするのですが、まずそれよりも大事にするのは「言葉」です。元ちゃんは自分で訳を作り、それを初回稽古までに全員に配布します。なので、初回稽古であろうと、詩をわかっていないような歌い方をしていると「何言ってるのかわかってる?!」と一喝されます。その後、その箇所の意味をバーっと言って、テキストを抑揚をつけて読み、我々はそれを演奏に反映させていきます。それができてから、ネウマ的な歌い方をしていきます。「そこはトルクルスっぽく」などとネウマが飛び交います。
バッハはとにかく様々な要素が入り組んでおり、その一つ一つを丁寧に作り込んでいくので、一曲一曲にかける時間がどうしても長くなってしまいます。けれど、これがサリクスの音を作る大事な作業なので、絶対に手を抜きません。
という感じで稽古は進められています。様子が少しでも伝わっていれば幸いです。
さて、今回は一体どんな音楽になっていくのか。メンバーはみんな勉強熱心で、知識も技術もあるので、稽古を重ねていくごとにどんどん進化していくと思います。私は他のメンバーに比べて色々と劣っていますが、足を引っ張らないよう、しっかりします!
最後に、宣伝です!
私は中世・ルネサンスの音楽も大好きなのですが、東京藝術大学に同じ思いを持った人たちが集まる同好会があります!その名も「西洋中世古楽会」です。先日も藝大の入学式で新入生歓迎演奏会をやったばかりなのですが、なんと今度の6月に初めて学校の外に飛び出して演奏会をします!詳細は下記の通り!
2010年、東京藝術大学内で密やかな産声を上げた「西洋中世古楽会」。西洋の中世・ルネサンス音楽を専門に演奏・研究する、芸大史上初の同好会として活動を続けています。
これまで、年3回の学内公演の準備と名物行事「学習会」を軸に学内を行い、多くの仲間と共に活動してきました。そして、活動7年目となる2016年、中世古楽会が遂に初の学外公演を行うことになりました!!歌・器楽総勢24名でお送りする特大企画!
「西洋中世古楽会 第一回学外公演」
2016年6月26日(日)
16:30開場/17:00開演
於:日本ホーネリス教団 東京中央教会
チケット:2000円(当日2500円)
ご予約・お問い合わせ:
電話 05023768552(相澤)
プログラム
〇第一ステージ「聖母マリアと行く、中世の旅」
(『聖母マリアのカンティガ集』、マルカブリュ、作者不詳《天使はマリアのもとへ》、ヒルデガルト・フォン・ビンゲン、『シビラの歌』、等)
〇第二ステージ「器楽の力」
(エスタンピー、『ブクスハイム・オルガン曲集』、各楽器によるルネサンス・コンソート、カベソン、ガブリエーリ、プレトリウス等)
〇第三ステージ「中世・ルネサンス ミサ通常文アラカルト」
(グレゴリオ聖歌、マショー、チコーニア、オケゲム、タヴァナー、ゴンベール、モラーレス、パレストリーナ等)
こちらも是非いらしてください☆
ソプラノ
鏑木綾(かぶらき あや)
国立音楽大学声楽科卒業、東京藝術大学大学院古楽科バロック声楽専攻修士課程修了。声楽を稲森雅子、益田道昭、佐竹由美の各氏に師事。バロック声楽を鈴木美登里、野々下由香里の各氏に師事。
Laudesi Tokyo、古楽アンサンブル コントラポント、ヴォーカル・アンサンブル カペラ、ベアータ・ムジカ・トキエンシスなど複数のグループで活動中。『吟遊詩人マルティン・コダックス―7つのカンティーガス』付属CD、『コントラポントのヴェスプロ』ライブCDに参加。
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【次回公演】
Salicus Kammerchorの次回公演は『第3回定期演奏会』です。
4月22日(土)14:00開演
横浜市栄区民文化センター リリスホール
4月27日(木)19:15開演
台東区生涯活動センター ミレニアムホール
曲目
”Lobe, den Herrn alle Heiden” BWV 230
”Der Geist hilft unser Schwachheit auf” BWV 226
他
詳細はコチラ↓
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【最新動画配信!】
第2回定期演奏会より、Heinrich Schütz “Musikalische Exequien” op. 7 III. Canticum Simeonisを公開中です!
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