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第11回 旋法とは(その2)


旋法について

第10回 旋法とは(その1)

第11回 旋法とは(その2)(この記事)

 

旋法の情緒的意味

各旋法は、その音域や、音階の中にある半音の位置、フィナリスとドミナントとの音程関係などから、それぞれ独特の雰囲気を持っています。以下は旋法を、ドミナントの低い方から順に並べたものです。

 一番低い第2旋法の低さと第7旋法の高さはかなり際立った特徴ということがよくわかると思います。真ん中の6つの旋法は、ドミナントのラとドを3つの旋法が共有していて、フィナリスの高さがその性格を決定していることが分かります。(第3旋法については、ミの5度上であるシをドミナントと捉える場合と、より”安定している”ドをドミナントとする場合があります)

 グイードの手で有名な理論家グイード・ダレッツォは「旋法が多様であるのは、心的状態が多様であることに適うものである」と述べています。

 この旋法ごとの性格を理論家たちは以下のように表現しています。

中世の理論家

 矛盾している所もありますが、大体共通するイメージがあるところもあります。それぞれの理論家の考えが個性的で面白いですね。特にヨハネス・アッフリゲメンシスの物言いは独特で、第3旋法や第4旋法の「がさつ」、とか「お世辞たらたら」などというのは、他に言い方なかったのかな、と思わせるほどです。

 この第3旋法と第4旋法の特徴の差については、理論家に繰り返し語られるとある逸話があります。

楽器に合わせて歌われたフリギアつまり第3旋法が、それを聴いていた一人の若者を刺激して、自分が求婚していた少女の部屋にすぐさま、力づくで押し入りたいという性急な気持ちを抱かせたという。ところがフリギア旋法がヒポフリギア旋法に、つまり第3旋法が第4旋法に帰ら得ると、その若者はその旋法の穏やかさによって気を静められ、