top of page

第17回 J. S. バッハのモテット(その3)

J. S. バッハのモテット

第15回 J. S. バッハのモテット(その1)

第16回 J. S. バッハのモテット(その2)

第17回 J. S. バッハのモテット(その3)(この記事)

第18回 J. S. バッハのモテット(その4)

 

 今回は、来年2017年5月のプログラムについてお話しさせていただきます。J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズの第3回演奏会です。

第3回 (演奏会タイトル未定)(2017年5月) “Lobet den Herrn, allen Heiden” BWV230 “Der Geist hilft unser Schwacheit auf” BWV226を中心としたプログラム

 まだこの演奏会のタイトルは未定ですが、第2回定期演奏会と同様2曲のモテットを演奏予定です。

“Lobet den Herrn” BWV230

“Lobet den Herrn”は19世紀の出版譜で伝えられており、オリジナル資料は欠けています。様式的な根拠からも偽作の疑いがかけられていますが、まだ真偽のほどは明らかになっていません。ベーレンライターのバッハ新全集(Neue Bach Ausgabe)に収録されているということもあり、Salicus Kammerchorサリクス・カンマーコアでは、この作品もバッハの作品と捉えて演奏いたします。

 このモテットは、4声の歌と独立した通奏低音という、バッハの他のモテットにはない編成を持っています。他のモテットは5声(Jesu, meine Freude)や二重合唱ですので、"Lobet den Herrn"は最も編成の小さなモテットということが出来ます。

 ファンファーレ風のテーマ"Lobet den Herrn"「主を賛美せよ」で始まり、メリスマが鮮やかな"und preiset ihn"「彼を賞賛せよ」のテーマの提示を経て、この2つのテーマが組合わせられます。

(Lobet den Herrnのテーマ)

(und preiset ihnのテーマ)

 ホモフォニックで穏やかな"Denn seine Gnade und Wahrheit"「彼の恵みと真実のゆえに」のあと、3拍子に変わり、"Alleluja"「アレルヤ」のフガート(小規模なフーガ)で締めくくります。

 短く編成も小さいものの、他のモテット同様非常に変化に富んだ作品です。

 このモテットは昨年2015年5月に演奏いたしました"Singet dem Herrn ein neues Lied" BWV225同様詩編をテキストとしており、同じテキストの作品は古今に山ほどあります。前半はこの詩篇117をテキストとする作品を取り上げ、時系列に従って演奏して参ります。

 “Lobet den Herrn, alle Heiden”はラテン語では"Laudate Dominum omnes gentes"といい、グレゴリオ聖歌には復活徹夜祭のための詠唱があります。