

第6回定期演奏会|終演
先日、第6回定期演奏会ハインリヒ・シュッツの音楽vol.1「巨匠たちの系譜〜フランドルからイタリア、そしてドイツへ〜」2公演終演いたしました。 ご来場いただきました皆様、また配信を御覧くださいました皆様、誠にありがとうございました。 昨年からの延期公演で、この1年間貯めにためた力が出た演奏になったかと思います。 この難しい状況の中、足をお運びくださった皆様、またホールスタッフ、この演奏会を実現するために力を貸してくださったすべての皆様に感謝いたします。 この状況がいつまで続くのかわかりませんが、たとえ永遠にこのままだったとしても、私達が音楽を諦めることはありません。どんな形であれ皆様と音楽を共有する機会を作っていきますので、お付き合いいただければ幸いです。 来年の第7回定期演奏会は「二人の天才〜モンテヴェルディ→シュッツ〜」ということで、シュッツとモンテヴェルディの2枚看板で臨む予定ですので、どうぞご期待ください。 櫻井元希


第56回 巨匠たちの系譜
前回は新シリーズ「ハインリヒ・シュッツの音楽」全体のお話をいたしましたが、今回はそのvol.1「巨匠たちの系譜」のプログラムの選曲コンセプトをお話したいと思います。 前回の記事→第55回 ハインリヒ・シュッツの音楽 前半プログラム 1.グレゴリオ聖歌「キリエ 善きことの泉」ミサ通常唱2番 2.ジャン・ムトン「グロリア」ミサ〈あなたの考えを教えて〉 3.アドリアン・ヴィラールト「クレド」ミサ〈羊飼いたちとともに探し求めよう〉 4.ハインリヒ・シュッツ「キリエ、永遠の父なる神」SWV 420 5.ハインリヒ・シュッツ「神にあらゆる栄光と賛美がありますように」SWV 421 6.ハインリヒ・シュッツ「唯一の神を信じます」SWV 422 シュッツは生涯に2度イタリアで勉強していますが、最初の留学ではジョヴァンニ・ガブリエーリに学びました。前半プログラムはこのジョヴァンニのおじ、アンドレーア・ガブリエーリの師であるアドリアン・ヴィラールト、そしてヴィラールトの師であるジャン・ムトンの作品をとり上げます。 シュッツは1657年に「12の宗教歌集」という曲集を


第55回 ハインリヒ・シュッツの音楽
Salicus Kammerchorは第5回定期演奏会で、「J. S. バッハのモテット全曲演奏シリーズ」を終えました。次なるシリーズとして私達が取り上げるのは、バッハ以前のドイツにおいて最大の音楽家とみなされているハインリヒ・シュッツです。バッハに比べるとまだまだ演奏機会の少ないシュッツですが、この4回の演奏会シリーズを通してその魅力を皆様と味わい尽くしたいと考えています。 シュッツはバッハが生まれるちょうど100年前、1585年にテューリンゲンの小さな村で生まれました。ヘッセン=カッセル方伯モーリツにみそめられ、音楽家としての人生を歩み始めたシュッツは彼の後押しでヴェネツィアに留学し、ジョヴァンニ・ガブリエーリのもとで学びます。シリーズ第1回「巨匠たちの系譜」では主にこのジョヴァンニ・ガブリエーリを中継地点として、シュッツへといたるキリスト教声楽の変遷を追っていきます。 1614年からシュッツはドレスデンのザクセン選帝侯ヨハン・ゲオルグ1世のもとで活動しますが、ほどなくしてドイツの人口を半分以下にしたという三十年戦争が始まってしまいます。この