

第53回 教会カンタータに綴られた物語3
これまでの記事 第51回 教会カンタータに綴られた物語1 第52回 教会カンタータに綴られた物語2 カンタータ公演情報はこちら 3回目となる今回はBWV78のテキストについてです。 カンタータ第78番「イエス、あなたは私の魂を」 BWV 78 Kantate Nr. 78 „Jesu, der du meine Seele” BWV 78 J. S. バッハのカンタータの中でも最も有名な作品の一つです。 この日読まれた福音書の内容は、病人をイエスが奇跡によって癒やすという部分で、これをカンタータでは発展的に解釈し、人間が生まれながらに持っている罪の赦しについて説いていきます。 このカンタータは典型的なコラールカンタータで、冒頭合唱と終曲がコラールのそのままの引用、中間楽章はコラールの内容を説明するような内容になっています。 冒頭合唱はコラールの第1節、罪の赦しがイエスの酷い死によってもたらされたということに想いを馳せる沈痛な曲調です。 第2曲はソプラノとアルトの二重唱で、病める人、また迷う人を助けるイエスのもとへ、急いで行こうと語りかけます。 第


第52回 教会カンタータに綴られた物語2
教会カンタータに流れるおおまかな筋をご紹介するシリーズ2回目です。 初回はこちら カンタータ公演情報はこちら 2回目はBWV103のテキストについてです。 カンタータ第103番「あなた方は泣き喚くだろう」 BWV 103 Kantate Nr. 103 „Ihr werdet weinen und heulen” BWV 103 J. S. バッハがライプツィヒ着任2年目の1725年に作曲した作品。復活節第3日曜日のために作曲されたもので、この日読まれる福音書章句の内容は、イエスが弟子たちに語った「悲しみが喜びに変わる」というもので、「受難」という悲しみを通して「救い」に預かれるのだということを、出産の苦しみとも対照させながら説いたものです。 このカンタータは6楽章構成です。冒頭合唱では悲しみが喜びに変わるというテーマを提示し、続く2・3楽章(レチタティーヴォとアリア)は悲しみを、4・5楽章(レチタティーヴォとアリア)はそれが喜びに変わる様子を描写します。終曲コラールでは受難に思いを馳せながらも、束の間の苦しみが喜びへと、永遠の幸福へ変わるだろう


サリクスメンバーの出演する演奏会情報
11月10・13日に行いますカンタータ公演では、感染症予防の観点から、接触機会をできるでけ減らすため、チラシの挟み込みを行いません。 そこで、その代わりに、メンバーの出演する演奏会の情報をこちらのブログで紹介していこうと思います。 情報が入り次第更新していきますので、是非チェックしてください! カンタータ公演の詳細はこちら メンバーのプロフィールはこちら Vocal Ensemble 歌譜喜 6th Concert (北とぴあ国際音楽祭参加公演) 日時:2020年11月12日(木) 19時開演 会場:北とぴあ つつじホール 曲目:北欧・バルト3国のアカペラ作品 詳細リンク:https://tiget.net/events/103598 出演するメンバー:富本泰成 佐藤拓 谷本喜基 松井永太郎 La Musica Collana ◇ クラウドファンディングのお知らせ ◇ 日時:2020年11月16日まで、支援者募集中。 詳細リンク:https://camp-fire.jp/projects/view/326440 メンバー: 丸山韶 島根朋史 佐々

第51回 教会カンタータに綴られた物語1
昨年Salicus KammerchorはJ. S. バッハのモテット全曲録音を終えましたが、今年からはJ. S. バッハの教会カンタータに取り組みます。 演奏会情報はこちら 教会カンタータについては以前La Musica Collanaとのジョイントコンサートを行った折に記事を書いていますので、こちらを御覧ください。 第25回 「カンタータ」とは 第26回 J. S. バッハの教会カンタータ(その1) 第27回 J. S. バッハの教会カンタータ(その2) 第28回 J. S. バッハの教会カンタータ(その3) 第29回 J. S. バッハの教会カンタータ(その4) この記事は、「教会カンタータに綴られた物語」と題しましたが、教会カンタータはオペラなどのように、明確なストーリーがあるわけではありません。 礼拝の中で、その日に朗読される福音書について、その内容を注釈するような形でカンタータのテキストは作成されています。福音書に基づいて行われる「説教」と役割が近いことから、教会カンタータは「音楽による説教」と呼ばれることもあります。 背景を知ってい


第1回 プレイバックSalicus
Salicus Kammerchorの新たなライブ配信企画! 過去の演奏会音源を聞きながらメンバーが当時の思いや裏事情を語ります! 初回は第1回定期演奏会の演奏から何曲かをプレイバックします。 サリクス結成秘話や古ネウマとの出会いなど、第1回ならではの積もる話が聞けますよ!! 10月22日(木)20時より Salicus KammerchorのYouTubeチャンネルにてライブ配信 https://www.youtube.com/channel/UCeWlQtnOnETy6Q2uZUVq4jA 出演:櫻井元希 谷本喜基 中須美喜 前島眞奈美 第1回定期演奏会 演奏曲目 「主日ミサ前のトッカータ」 ●ジローラモ・フレスコバルディ (1583-1643) “Cantate Domino canticum novum”「新しい歌を主に歌え」 ●グレゴリオ聖歌 ●ウィリアム・バード (1543?-1623) ●ディートリヒ・ブクステフーデ (1637-1707) “Singet dem Herrn ein neues Lied”「新しい歌を主に歌え」 ●